カリフォルニアの弁護士試験の合格点が下がるかもしれない。http://www.abajournal.com/news/article/california_bar_brief_pokes_holes_in_some_arguments_for_a_lower_bar_exam_cut
カリフォルニアは、アメリカの全州の中で、最も合格するのが難しい州と言われている。その理由は
1. 合格点がデラウェアの次に全米の中で高く、1440点である事(この点数は偏差値であるが、エッセー、4択、パフォーマンステスト全てで65-70点をとるレベル)
2. エッセーとパフォーマンステストを合わせたライティングの配点比重が2/3, 四択が1/3であった事
による。
2017年7月の試験からは、筆記と四択の比率が50:50となり、試験も3日間から2日間に短縮された。よって、2の問題自体は一応解決された。一応と書いたのは、問題数が少なくなった代わりに、複数に渡る科目が1問に出題されたり、時間内で書けないような問題数が一つのエッセーに出されたりと、かえって点数が取りにくい出題になっていると感じたからである。まあそれは以前のブログでも書いたので置いておく。
今回議論になっているのは、合格点の方である。毎年下がり続ける合格率(2016年7 月は43.0%, 2017年2月は34.5 %) に対する批判に答えたのか、通常なら試験委員が決める合格点を、California Supreme Courtが、法令を変更し、自分達で合格点をどうするか判断できるものとしたのである。
点数を他州と同様1390点位にすべき、という意見には、「試験に受からない学校卒業生達は、弁護士としての仕事ができず、ロースクールの学費支払いのローン返済ができない」「マイノリティの弁護士を増加させて、リーガルサービスを貧しい人たちにも普及させるべき」とする。
一方、点数はこのままでいいとするのは、現役のライセンスホルダーであり、「カリフォルニアの弁護士の質を保つためには必要」「合格した時の点数と倫理違反をする弁護士には関連性がある(それは関係ない、という調査結果が出ているらしいが」)と主張する。カリフォルニアは、弁護士の数も多く、競争も激しいため、現役の弁護士の反論はまあ、自分のジョブセキュリティのためにそういう詭弁をいっているのでは?、と思える。受験を何度かした経験から、カリフォルニア州の試験内容が、必要以上にトリッキー、採点も厳しすぎると感じる。(前の制度による)以前の日本の弁護士試験は落とすため、アメリカの試験はロースクールで勉強したことをちゃんと自分のものにしているかの確認、と思っていたのだが、カリフォルニアは昔の日本の状態に近い。結論は間も無く出され、もしかすると今夏の試験から適用になるかもしれない。様子を見守りたい。