日経新聞の9/25の記事、「AI時代のサムライ業代替の危機 新事業に挑む」は、なかなか刺激的なタイトル。今のサムライ業の業務のほとんどは、AIに取って代わられるそうである。先週参加したエンジニアと法律家のための勉強会 ”Study Code – 開発と法律の基礎の基礎” でも、書士会の勉強会の講師の先生も、話題にされていた。
士業の中で、一番代替が可能なのは、行政書士 93.1%で、税理士92.5, 弁理士92.1%と続く。行政書士の業務は、官公庁に提出する書類の作成なので、登記手続きを行う司法書士とともに、どちらも「定型書類に情報を正確に書き込んで手続きする」仕事なので、AIに置き換えられやすいとの見方があるんだそう。まあ確かに、定型書類に情報を正確に書き込んで手続きするお仕事だったら、それほど難しくないのかもしれないが、ただ、正確に書き込むだけでクライアントからお金をもらっている書士は、あんまりいないのではと思うのだが。作成する項目や提出書類の吟味やノウハウの蓄積があるからこその仕事だし。私のメイン業務である契約書の作成は、契約内容やクライアントと相手方のパワーバランスを考えて作るものだし、契約の交渉は、相手方の出方を予想して、戦い方や妥協線を測るので、AIさんには無理ではないかと思う。
また、ここに紹介されている、新たな挑戦をしているという士業の人たちの業務が、別にAIの話じゃないような内容が多くて、無理に話題をAIに引っ掛けたようとしか思えない。その挑戦の一つとして電子契約書サービスを始めた士業の方が紹介されているが、このサービスとAIとの関連性がよくわからなかった。電子契約書って、別にPDFを原本として双方の会社が保存をすれば、印紙は貼る必要はなく、捺印やサインを電子でやりたければ、既存の電子サインのシステムを使えばできるものだし。
新聞もデスクが話題つくりのために記者に新規ネタを要求するのかもしれない(確かに話題にはなっているけど)が、士業が従来の仕事だけをやって食べられる時代はとうに終わっている。業務内容を人が判断したらこういう結果が出て来たのかもしれないが、できればAIに、「この仕事できる?」を聞いてもらうと、全然違う結果になるのではないだろうか?