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ネットでの誹謗中傷について – 自分のツイートがバズった経験から

最近、きゃりーぱみゅぱみゅさんが検察庁法改正に関するツイートをして非難されたり、プロセスラーだった木村花さんがネットでの誹謗中傷が原因でお亡くなりになったとみられることで、ネットでの誹謗中傷の議論が出てきている。この問題って、誹謗中傷が悪いことだとはわかっていても、その深刻さって、経験しないとなかなかわかりにくいと思う。かくいう私もそうであった。気にしなきゃ、無視すればいいじゃないと思っていた。

が、ツイッターで自分がツイートするようになって、そのツイートが10,000人以上のリツイートといいねをいただくことになって、それがよくわかった。、誹謗中傷への対応は簡単ではないことが。

1. 自分のツイートがバズったこと

私自身のツイートがバズったのは、先週のこと。上記のような方達の被害について与野党から法規制が必要、政府内での検討が始まったという話が出てくる。それと前後して、ツイッターの中で、フォロワーがたくさんいて政治的発言をしているプライベートアカウントの持ち主が、次々とアカウントを凍結されたり(凍結されると、そのアカウントに付随するツイートやビデオなども全部使えなくなる)、シャドウバン(一時的にリプライやいいねをつけるといった機能が制限されること)に遭う、ということが出てきた。一方、デマを流したり、そういうアカウントに対して誹謗中傷するアカウントは、通報し「違法が発見されました」とツイッタージャパンから連絡がきても、凍結されることもなく元気に投稿し続けている。で、ツイッターの中で、「なんだかツイッタージャパンがやってること、おかしくないか?」という話が出てきたのである。

そういうときは、子会社である日本に問いただしても埒があかないから、本社に聞いてみればいいんじゃないか?というのが外資系の企業にいた私の作戦。で、英語で本社宛に「ツイッタージャパンって本社と違うポリシーでアカウント凍結しているなら、それは我々に対しての言論統制じゃないか?」という英語での問い合わせのツイートをしてみた。

が、私はフォロワーもほとんどいない弱小アカウント(その時は40人もフォロワーはいなかった)なので、広がりは期待できず、その声が本社に届いているかもわからない。で、ご自分のツイートするたびに物凄いクソリプ=投稿に対して、その個人だけに返信の形で攻撃する’くそみたいなリプライ’の略(私が考えた言葉じゃないので、上品でなくて、すみません)がくる事に困っていることをツイートしていた、4万人以上フォロワーがいる中野教授(世耕元大臣に名誉毀損で訴えられて弁護団もできてます、寄付も募集されてますので是非!)のところに、「この文章でアメリカ宛にクレーム入れてますが、弱小アカウントなので力なくて」と書いたところ、そのリプライ欄に気づいた別の方が、「英語に日本語訳をつけるとみんなにわかりやすいと思う、頑張って、私も頑張ります」とアドバイスしてくれたのである。的を得たアドバイスだった。

このアドバイスに従って、自分の英語のツイートに、自分でリツイートをして、そこに日本語訳を入れたリンクをそこに載せた(細かいプロセスはすでに失念)ところ、リプをしたベースのツイートをされていた中野教授が、私のツイートをそのままRT (リツイート)をしてくれたのである。その瞬間からバズりが始まり、有名知識人、フォロワーの方その他様々なアカウントの方達がリツイート、日本語つき、英語のみの両方にいいねを押してくれだして、確か、3日くらいで5,000を超えた。それから今まで1週間も経っていないが、すでに日本語、英語両方合わせて10,000人以上の方がリツイート、いいねを押してくれている。尊敬する学者さんやジャーナリストさんまでリツイートしてくださって感動。又、こ私の文章を使って、自分のツイートとしてアメリカ本社宛ツイートしてくれている人かなりいるが、この数はここには含まれていないので、実際にはもっと多くの方の賛同を得られているものと思う。

見た瞬間にすぐわかる短い文章のツイートではなく、クソ真面目なツイートなのに、これだけの人が賛成してくれたことに、感動と同時に、こういう言論統制らしきものに対するみんなの危機感を感じる。

そして、このツイートをした瞬間から、誹謗中傷を含む、そのリプライに追われることになるのである。

2. クソリプへの対応

多分はたから見ている方は不思議だろう、ツイートへのリプライなんて放っておけば、誹謗中傷なんて気にならないだろうと。

いやいや、リプライにはクソリプもあれば、「文章使っていんですか?』「英語作ってくれてありがとう」とか、「この件、取材仕込めないですかね?』と聞いてくださるいいリプもあり、リプの欄をスクロールダウンして上から順番に見に行かない限り、それがどちらか見分けられないので、クソリプも目に入ってしまうのである。あと、よく勉強した方がいいです、とかこれはご存知ですか、とか、釈迦に説法してくる人もたまにいたり、作った英文に1箇所文法が間違っていたことに、「こんな文章書いて、みんなに使ってくれなんて恥ずかしい!』と言われたので、これにもリプライ(文法できないのは今に始まったことではなく、私が恥ずかしがれば済むことだと思うのだが)。又、クソリプは、放っておくと、そのいいリプに対してもクソリプで攻撃したり、何度もおんなじ文章でツイートしてきて、リプライの場の邪魔をする輩がいる(全く関係ないリプを15連続で貼ってきたクソ垢=アカウントがいた)ので、毅然とした態度で返信しないと周りにまで迷惑がかかることがある。

誹謗中傷なんて気にしなければいい?

そんなに生優しいものではない。

なんせ、向こうは自分の名前も出さず、アイコンも顔写真なし、どこの誰かわからない匿名=透明人間に、突然人格否定されるのである。私に対してのクソリプなんて、量も内容も大したことないけれど、そのリプへの怒りをどこにぶつけたらいいかわからないし、これ有名人だったら、一度に何千、何万と一斉に一人に対して向かってくるわけで、おかしくならない訳が無い。きゃりーぱみゅぱみゅさんが検察庁法案改正に自作の三権分立の図を作成してツイートしたら、それがすごい議論になったため消したことに対して、非難している人がいたけれど、彼女のような若いアーティストを非難できる輩の気が知れない。ダルビッシュ有さんが、普通の人が考えるほど、この問題、そんなに簡単なものじゃないんだよってバッタの大群に一人の人間が襲われた写真付きでツイートしているが、この写真実感ありすぎである。一人で無数の誹謗中傷の大群に立ち向かわなければならず、だからきゃりーぱみゅぱみゅさんから「芸能人だって一人の人間だよ」って言葉が出てきたのである。流石の彼女も参っていたんだろうとこのツイート見た瞬間に泣けてきた。女性アーティストに対しの攻撃が男性アーティストへのそれを上回ることも、いまだに女性を下に見る男性が多い、さすが「ジェンダー・ギャップ153ヵ国中121位と過去最低記録」となった日本らしい現象。

悩まないで、誹謗中傷の相手に対して法的手段を取ればいい?

確かに名を名乗って公然と誹謗中傷する輩に対して訴訟を起こすことは可能、又何千という仮名のアカウントでも、プロバイダー責任法にのっとって、個人を特定した上での訴訟は可能かもしれない。が、その手間と時間、弁護士費用などをなぜ誹謗中傷された側がかけなければならないのか、と不合理を感じる。

3. 対策

ではどうすればアカウントに対する誹謗中傷的なリツイートやリプライを防げるのか?法的な規制で誹謗中傷を取り締まろうとすると、それが言論統制にもつながる危険が大きいので、誹謗中傷をさせないことをシステムやプラットフォーム側が考えた方がいいと思う。Twitterに関しては、現在は、仮名、仮写真で、一人で幾つでもアカウントが作って、ツイートできるのだが、一人一つのカウントとして、最初にアカウントを作る段階で本人証明書提出を原則とするというのはどうだろうか?

奇しくも、昨日「誹謗中傷をやめたいのにやめられない- ネット中傷を続ける女性の告白」と、ネットで誹謗中傷を続ける女性の話が記事になっていた。ここまでいくと病気とも言える。「私も普通の会社員の方から殺すとまで言われましたよ」、と芸能人がツイートされていたので、この方だけが異常なのではないのだろう。これ、リアルなストーカーにも近いと思うが。でも、こういうことするのって、社会の閉塞感とか、自分が認められないことへの嫉妬みたいな気持ちがあるからじゃないかと思っている。社会、経済、政治がもっと明るくなれば、こういうことって減っていくんじゃないか、理想論ではあるけれど、環境が変わればこういう行為もなくなるのでは?

そんな考え甘い、という批判は受けますが、どうか誹謗中傷はしないでいただきたい、私も今回のツイートで相当疲疲労困憊したので。

 

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