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資格試験の遠隔・オンライン化

司法試験の論文・短答式は例年5月、司法書士試験の5択・記述は7月に行われるのが通常であったが、今年は、司法試験が8月、司法書士試験は6/13現在実施日未定である。また、司法試験の概要を見る限り、多くの受験生を一つところに集めて、そこで鉛筆とボールペンで答えさせる、という方式を変更する予定は全然なさそうである。多分、司法書士試験も、コロナ感染が一段落した秋あたりに大学の部屋をおさえてそこで試験、という形態で行われそうな状況である。

なぜオンライン=自分のPC及び遠隔での受験を進める気がないのであろうか?

企業は、社員の感染リスクを抑えるために、リモートワークを推奨し、オンラインでのミーティングも随分と一般化した。学校は、生徒を半分ずつ登校させて密集を避け、オンラインでの授業を取り入れ始めた。ジム、映画館、レストランなども経営者が自らの判断で席の間隔を空けて満杯にならぬよう、また窓やドアを開けて換気を良くしてウィルスが滞留しないように工夫を求められている。

が、それを求めている官公庁の側が、今までと同じような方式で試験をやろうとしている。なぜ?その疑問の回答として、試験の回答を手書きさせることにしており、オンライン化が難しいことが上げられると思っているのだが、そもそも、なんでいつまでも手書きの試験を求めているのだろうか?この問題大きく二つに分けると、

  1. オンラインで試験をするには、PC上で試験が完結することが必要だが、資料なしで書かせる試験が手書きでは一斉テスト以外での実現は難しい。
  2. 学術論文、訴状、及び申請書もPCでの打ち込み、オンラインでの申請が普通なのに、現状とはかけ離れた試験形態をとっていることにより、試験自体の形骸化とこんな分野でも海外との技術格差が広がる

1について、私が受験したアメリカの弁護士試験は、記述試験については2003年から試験会場にPCの持ち込みができるようになっていた、現状Exam Softというソフトウェアを自分のPCにインストールし、試験中は画面の所定の場所にエッセーやパフォーマンステストの解答を書くようになっている。以前は、解答をUSBへダウンロードして、そのUSBを試験監督員に渡す形であったが、今は、見えなくなったその解答を試験後ネットに繋いで、オンラインでアップロードをすれば、自動的に試験委員に送られる仕組みになっている。このExam Softは、ほぼ全米で、大学試験にも使われている、これまでかなり使用されてきておりバージョンも変更されているため、かなりのバグも解決できている。

コロナ感染の影響で、年2回あるうち、ロースクール卒業生が受験する夏の弁護士試験は、ほとんどの州で秋に延期になる。受験者数の多いニューヨーク州では、人数が入れる場所が限られているので、新たに卒業した学生優先、カリフォルニア州は、基本は遠隔での受験となり、PCにカメラをつけて遠隔で監視することで、カンニングできない状態にして、実施するという。四択の試験の方は、NCBEという全米統一試験を実施している機関が今までマークシートの回答も集計していた者の、遠隔での受験対応については、どこまで各州の要望に合わせるかによる。今まで200問が書かれた問題集を試験会場で配理、回答はマークシートに書いて、後に提出だったが、多分、今回は問題もオンラインでPC画面で見ることになると思う。試験予備校の四択の練習問題を解く場合は、今までもオンライン方式だったので、それに慣れているものにとっては、対して苦痛ではない。よって、予備校方式で、オンラインで繋ぎ、時間が来たら問題が見られるような方式で試験を遠隔で行うことは十分に可能である。

これ多分、コロナの問題が起きる随分前からアメリカだけでなく、多くの国ではオンライン授業も試験も一般的であって、コロナでそれに遠隔の要素が加えられただけなのではないだろうか?

2についてだが、今まで上記のようなPCでの試験を受験してきた私にとって、手書きの試験は苦痛以外の何者でもない。定款作成も、登記申請も、今は全てオンライン、文字は全てPCでのタイピングなのに、司法書士試験の記述は、ボールペンで紙に手書きで登記申請書類を書くというものなのである。論文試験はない。今まで何度か模擬試験を受けたのだが、予備校に行って受験したくなかったので、家で問題を解き、紙を予備校に郵送して添削依頼。添削が戻ってくると、その多くに「字の綴り間違いが多いです」と書かれて減点されている。いやもう、それこそ目が点になりそうな添削である。字をきれいに書く時間なんてないし、書いているうちに手が動かなくなることが何度もある。実務では全く必要ないスキル。なんでこんな形態の記述試験受けなければいけないか到底理解できない。

ついでにいうと、司法書士の5択の問題って、ほとんど全てが法律の条文と有名判例を覚えれば解けるし(条文の一文字違うのを見つける間違い探しとか)、記述は、登記申請書類の作成、商業登記と不動産登記2問なので、テキストとして市販されている、各パターンの雛形を見れば解けるようなものなのだ。司法試験はもう少し思考能力試されるんだとは思うが、司法書士試験は、ほぼ暗記だけの試験なのである。合格者が少なく、難しい試験だと聞いていたのでやりがいがあるのかなと勉強を開始したのだが、ここまで暗記だけのものとは思わず、よって、試験が近くなってもやる気虫が全然湧いてこない。

話題から逸れてしまったが、もし本当に受験生1箇所に集めて試験を手書きで行う試験を秋に実施する予定であれば、長時間多くの受験者と教室に詰め込まれた段階でコロナ感染する可能性は高いし、だからといって受験時に5時間もマスクしたまま受けることもしんどいので、受験は見送りかなと思う。

感染予防という名目もあり、試験形態を変更する絶好の機会だと思うし、実務に見合った試験にするためにも、ぜひ、遠隔化・オンライン化を進めていただきたいと思う。

*追記 – 司法試験は7/17現在8/12から4日間を予定、司法書士試験は、9月末に実施されることが7/1に発表となった。司法書士試験、内容は例年と変わらず。熱を測って入場。マスク着用で5時間の試験を受験せよという、要は受験者に無茶を押し付けるお達し。発熱なしの無症状感染者と5時間同じ密閉空間にいても感染しないという科学的根拠はあるのか?7/15現在見た覚えがない。現在も感染者がどんどん増えている中で密閉空間で予定通り試験とは、正に自殺行為としか思えない。

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