中国の法律事務所TCC Legalと提携することにした。正式な発表は別でちゃんとするが、先日決めた。コロナ自粛がいつまでも明けず、明けない限りはジタバタ営業しても始まらないと覚悟を決め、半分冬眠しながら顧問先やレギュラーのお客さんから依頼がきたものだけお引き受けしていたのだが、そこに事務所パートナーのPaulから連絡があったので。
元々のきっかけは、昨年のクリスマス直前に、上海から事務所に電話があり(海外から電話がかかってくるのは全く珍しくない)ピックアップしたところ、それがPaulからの電話であった。「中国・日本間の国際業務とエンタメ関係の分野で協業できる事務所を探していて、ちょうど来週横浜に仕事に行くんだけど、会えないか?」という内容だったので、是非、ということで翌週私の事務所でミーティング。その時に、カナダ人でもともとアメフトの選手、スポーツ関連法で有名なリチャード・マクラーレン(ロシア選手のドーピング問題を報告した人)にカナダオンタリオのロースクールで師事、カナダ及び彼の紹介で北京の有名な法律事務所で勤務し、独立して上海に事務所を作った、という話を聞かせてもらった。事務所では、商標登録・侵害その他の知財関連、国内外のビジネスのアドバイスとともに、ラスベガスのパフォーマンス集団「シルク・ドウ・ソレイユ」の中国興行を手伝っていたという。確かに、通常のビジネスアドバイス以外にエンタメ法をロースクールで勉強・実務にも活用、英語でビジネスできる法律家は大手事務所の弁護士以外はほとんど見かけないので、よく私を探し当てたねーとコメント。で、「こんな小さい事務所なんだけど、いいの?」と聞いたところ、「大きい事務所と話をしても、相手にしてくれないから、かえって小さい事務所の方がいい」との返事。じゃあ、今後一緒にできることはやろう、次回はもう少し時間ある時に、詰めた話をしよう、という結論に至りその場は終了。
次に5月になって、「海外出張中にコロナで中国に戻れなくなり、3月から沖縄にいるので、中国に帰る前に東京に行くから、その時に会おう」と言われ、日本で会社設立か営業所設置をしたい中国の会社のプロセス説明・見積もり提示や中国での商標侵害の相談や、不動産売買の話をメールを介して続けていた。これらの話ではつめつめでこられて、さすが弁護士だと思った。で、間も無く帰国できるだろうからまた連絡する、との話だったがしばらく連絡がなく、どうしたのかなー?と思った8月の下旬、「やっとビザが降りたから、9月3日中国上海帰国のため、東京行く。帰国前に、カナダ大使館や、カナダ商工会議所に一緒に営業しに行こう」との連絡がきた。
つまり、彼は3月からずっと中国のビザがおりるのを待って、カナダにも戻らず、半年間日本でリモートワークをしてたわけである。カナダ商工会議所に行く前に麻布のイタリアンレストランで詳しい話を聞いたのだが、いやもうたくましいのなんのって。バリバリ体育会系の私としてはこういう人間を贔屓目に見るところはあるけれど、やっぱりスポーツやってた人間はど根性があるので、危機管理能力が高いと思う。加えていうが、彼は一言も日本語が喋れず、英語だけで日本を移動し、日本語しかわからない人ともコミュニケートし、私が推薦した大分の別府や、ニセコ、箱根やらを旅して半年間エンジョイ(&仕事)していたのである。お金かかるだろうに、と心配する方もいらっしゃるかもしれないが、外人って普通ホテルや移動費にお金をかけないので、多分そんなに出費はしていないはず。沖縄の滞在先、海が目前のベランダのテーブルにPC置いた写真を「ここが僕のワークスペース、ワハハ」って見せてもらったけど、多分エアビーで調べて予約、月5万くらいしか払ってないんじゃないだろうか?仕事はちゃんとやるけど、そのほかはざっとでOK、が仕事相手としてはありがたく、これならパートナーシップ組んでも問題なかろうと判断した。今後TCC Legalとは、中国、日本、カナダの会社や個人の業務について、ワンストップサービスを提供することになると思う。
中国に帰った後のPaulに連絡を取ったら、2週間髪の毛やフライドポテトが散らばるきったないホテルに閉じ込められ、$1,000と引き換えに、チャイナ航空の機内食を1日3回提供すると言われて機内食なんか食べたくないと断り、未調理のフルーツや野菜でその間乗り切ったらしい。なんで日本ではあんなに安全だったのに、中国でいきなりコロナ感染の危険に晒されるんだと愚痴っていた。横浜の綺麗な空と、それと対照的な、公害のためにくすんだ上海の空の写真も送ってくれた。中国には香港ですら行った事がないので、経済成長した姿を実際に見てみたい気もするが、こういう話を聞くと、色々と怖い。WeChat以外の電話アプリはWhatsApp、Line、FBのメッセンジャーなど全くつながらないらしいし。そのうちいろんなことに嫌気がさして、日本で在留許可とって仕事をすると言い出すかもしれない。
ちなみに、タイトルは「明けない夜はないと待つ暇があるのなら東に向かう、止まない雨がないと思うなら、雲の上に行く努力をしよう」というホスト界の帝王、ローランドさんの言葉の一部をお借りした。コロナ対策に進歩が見られず、相変わらず感染者数は減る気配もないが、これ以上待っていてもキリがなく、自ら積極的に動く時期なんだろう。
なお、中国、カナダがらみのビジネスについてお問い合わせありましたら、フォームご使用の上、当職までご連絡ください。