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種子法と種苗法の改正

先日行政書士会で種苗法のセミナーがあるというのでZoomで参加した。種苗法のセミナーは10年以上前に一度聞いた覚えがあり、「この業務は行政書士もできるので是非自分のものにして欲しい」みたいなコメントが講師の方からあったことを覚えている。特許庁へ届出をする商標や意匠は弁理士の業務だが、品種の登録申請管轄は農林水産省なので、行政書士が報酬を得て良い「官公庁に提出する書類の作成」業務に含まれるからだ。もちろん申請については要件があり、ノウハウも必要なわけで、私のように事務所も家も商業地域=繁華街、の場合に農家の方から依頼が来るかと言えば皆無。普段、商標の業務は弁理士さんとクライアントの間にたってプロセス・交渉、選択の判断役はやっているものの、品種登録業務に対してどこまで深く細かく理解をすべきかは迷うところ。

で、本題の種苗法の前に種子法についてざっと書いておく。

種子法は、正式名称を「主要農作物種子法」といい、太平洋戦争後に米、麦、大豆などについて国の補助金を投入し、安定的に良質な種子を農家に供給できるようにしたもの。1952年制定。種子法によって、国が種子、ひいては主食の米などを管理し、農家は手間をかけて自家採種することなく農作物の生産自体に集中できるようにするのが目的であった。が、この種子法、2018年に廃止となった。廃止の理由としては、民間を利用してもっと開発力や供給力を高めて、国際競争力を高めようとしたもの。記憶は曖昧だが、お米の供給量や値段が国にコントロールされていて、豊作だと米が余ってしまい捨てなければならない、お米の値段ってかなり高いから海外では勝負できないという話を聞いたことがあるような気がする。ただ、ドラスティックに種子法自体を廃止してしまうと民間企業の寡占か独占状態になり、種子の価格が上昇したり、海外企業が作る遺伝子組み換えの種子が参入しやすくなる、という話もあって、種子法復活の声も多く聞かれるという。

一方種苗法は、もともと「農産種苗法」という。1947年、戦後食糧事情が逼迫してことを背景として、農業生産の安定化及び生産性向上を図るため、有料苗種の品種改良を奨励する制度として始まり、現在の種苗法に近い形になったのは1978年。国際条約に適合させて、種登録制度がより詳細に区分された(一部「ウィキペディア」より)。種苗法は、米や野菜などの新品種を開発して登録することにより、開発者の知的財産権をを保護するもの。開発者は育成者権として生産・販売する権利を得られる。

この種苗法の改正案が国会で議論され、先日可決、2021年4月より施行となった。この改正の理由について、農水省は、優良品種の違法は海外流出を止めるためと説明しているが、実際に海外に流出させたのか確たる証拠はなく、又、海外流出を止めるためには海外での品種登録が必要なのであって、この種苗法改正の目的が海外流出を止めることと直接関係あるとは思えない。

改正の本当の目的は、一言で言ってしまえば、種子法の廃止と変わらない。民間の種子販売会社が参入することを可能にするためである。問題なのは、農家の登録品種について自家増殖を禁止したことだそう。自家増殖というのは、農家が収穫物の一部を次期作付け用に種苗として使用する、いわゆる自家採種のことをいう。改正法では登録品種についての自家増殖を原則禁止とし、登録期間の25年-30年間は、使用許諾料を権利者に払わなければならなくなったことである。もし、使用した種苗が民間企業の寡占化独占品種であり、よってその価格が高額である場合、自家増殖を禁止された農家はそれでも種苗を買わざるを得ず、農家にとってありがたくない状況になる可能性がある。

ただ、私自身は、農家の方達がどれだけ危機感をいただいているのか、身近にいらっしゃらず、メディアでのインタビューを聞いたわけでもないので、食の安全を守る、という名目でTwitterで巻き起こっている種苗法改正反対の動きに同調していいものかどうかわからなくなった。行政書士会のセミナーの講師=行政書士は、「みなさんが考える昔ながらの農家さんと、現在の農家さんは、非常に違っています。今の農業はかなり先進的・革新的ですよ」という話を聞き、そういう農家の人たちは、自分たちの開発した種苗を国内外でしっかりと登録をし、改正があってもびくともしないのでは、という可能性もあるなあと思った。

よって、どなたかから指摘していただけたり、自分自身で納得のいく答えを得られたら、この法律については情報を更新したいと思っている。

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