補助金ブログ第二弾。クライアントにアドバイスをして獲得したこともあるし、昔代表をやっていた会社、及び個人でも申請をしていいところまで行ったことはあるのだが、元々それほど積極的に助成金や補助金には関わっていなかった。日々の業務の合間にギャンブル性が強いものをお手伝いする余裕が今までなかったので。
が、最近はコロナの影響で補助金、助成金を申請したいという話も多く、クライアントにも情報提供したところ申請してみたいという話もあり(締め切りに1ヶ月切ってからの話だったので保留中)、一時支援金の確認機関として普段お会いしないような色々な人(=40人近くなった)にお会いして、必要な方もいらっしゃることを実感し、もうちょっと深いところまで調べみる気になった。で、中小企業診断士が講師のセミナーとか、YouTubeで人気がある講師の助成金申請のコツ、みたいな番組を色々聞いてみた。以下が、一般的な中小企業が申請するのにメジャーな補助金4つである。リンクはそれぞれのタイトルをクリックして頂きたい。
新分野、業態転換、業種転換、事業再編など思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業の取組に出される補助金。通常枠6,000万円まで、特別枠500万円まで。2/3から3/4を助成。広告・宣伝、旅費なども補助対象になる。認定支援機関や銀行と事業計画の段階からコンセンサスを取る必要あり。
革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資への補助金。一般型1,000万円、 グローバル展開型3,000万円。1/2-2/3の補助。機械装置・システム構築費などが補助されるが、広告宣伝費の補助は低感染リスク型ビジネス枠のみ。主に製造業をターゲットとしている(みたいだ)。
主にバックオフィス(総務・経理など)でITツールを導入する企業向け。類型によるが150万円から450万円まで、1/2または2/3補助。予めIT事業者を選んでプロセス進める必要あり。
*本論から外れるが、IT導入の補助金説明なのに、他の補助金と違って、ワードに書かれた文章がずらずらと書かれていて、読んで理解するのに苦労する。もっとITリテラシー高い人が文章ではなくパワポやエクセル駆使して図表を使い、趣旨や概要のポイントが一目でわかるようなもの作ってくれないものか?
小規模事業者(要件あり)が販路開拓・業務効率を上げることを補助するもの。50万円から100万円。2/3補助。補助金額が安いからか、経費のカテゴリーは広そう。
金額の順に書いたが、採択されやすいのは、DからAの順番を逆に遡る。
次にチャレンジする場合に気をつけて頂きたいこと。第一番は、
・返さなくて良い補助金が出るのは、補助金の趣旨にしっかり沿った計画書を提出した企業のみ
ということである。例えば、事業再構築補助金の目的は、事業再構築を通じて、事業規模を拡大し、中小企業から中堅・大企業に成長したり、海外展開を強化し市場の新規開拓で成長率を上げること。採点項目としても、実現可能性や再構築の必要性とともに、政策点というのが入っているのだ。この採点項目に忠実に合わせない限り、補助金はもらえない。ここ最近では、採択率が30%以下で、中小企業よりも中堅企業への補助の方に力が入っていると聞く。本来であれば、日本の会社の99%以上が中小企業であり、今の事業のままで生き残る方法を考える方が対外的な差別化ができるのではと思うのだが、今の政権は、生産性重視なので、再構築を進める方が良いと説く。もちろん、丁度新規事業を立ち上げようと思っていたとか、別の事業の転換しようと思っていた、というのならいいのだが、補助金をもらうために事業計画を作って、それで失敗をしても、国は責任をとってくれないし、計画通りにいかなければ補助金返還を求められる場合もある。だから、それなりの覚悟をもって申請をする必要があると思う。
・事業計画は社内発・作成、プロの役割はブラッシュアップであり、作成ではない
セミナー講師の1人がおっしゃっていてやっぱりそうだよなーと思ったのが、「プロが書いたものは10秒でわかる」とのこと。この方は元々申請書を受け取る側で公務員として勤務されていて、見た瞬間に誰が書いたかわかるし、その時点で申請が通る確率がグッと低くなるということ。見た目だけ整えても、企業のやる気が感じられなければ、申請は通らないのだ。補助金申請代行のサービスってあるけれど、で、その成功報酬が15-25%って、補助金額が高ければ報酬もそれに伴い高額になる。手伝ってもらうのは良いが、コンセプトや事業計画はやっぱり企業側で書くべきだと思う。プロが書いた申請が通ったとしても、その後の負担は全て会社のスタッフ、特に総務経理をやっている方にかかるし、万が一申請した事業がうまくいかなかったとしても、結局は会社が自分でその尻を拭くしかないので。
・補助金の申請をするエネルギーと本来の事業に集中する時間
補助金はその補助が高額になればなるほど申請書の作成には相当に時間をかけ、専門家と相談しないとだめなので、本来の事業を回しながら補助金申請をするというのは大変だと思う。だから、専門家に丸投げしたくなる気持ちもわかるのだが、採択率の低さを考えると、専門家に任せてその報酬を払うくらいなら、本来の事業に集中し、その事業のための融資を探したほうがいい場合もあるはず。前記した通り、補助金が出てもうまくいかなかったら全額没収、または経費分を引いても利益が出てしまったらその分を返却する必要があるし、その利益に対して税金もかかってくる。そのうまい頃合いを見て新たな分野に挑戦するような補助金申請をするより、本来の事業に集中した方が将来的に正解であることも考えられる。バランスを見て、かつ挑戦する余裕やエネルギーがあるときに、真剣にやりつつも、ダメもと、と考えて申請されるのが良いと思う。
個人的には、補助金の要件に合わせることなく、中小企業が今の状態で儲かるような政策を国には打ち出してもらいのだが、当座はそれも望むべくもなく、補助金にチャレンジすること自体は否定はしない。で、チャレンジすることになり、専門家に相談される場合は、中小企業診断士その他士業のライセンスを持っている人、認定支援機関の登録者を選んだ方が良い。士業が組織の中にいると言いながら実際にはいないのに、詐欺まがいの高額の報酬を取る会社があるのでご注意を。