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セカンドキャリア、起業、リタイヤメント

私のように個人で士業をやっているとお客さんや友人達から「このまま独立すべきか会社にいるべきか」とか、「個人事業主でいるのと、会社設立するのとどちらが良いか」とか「リタイヤしたらどうしよう」と言ったご相談をビジネス以外でも受けることが多い。今回は今までのクライアントのお手伝い経験と、自分自身の体験談を踏まえて書いてみたいと思う。ただし、今回のブログは単なる私の経験と主観でしか書いてないのであんまり信用しない方が良いと思うし、信用して実行してうまくいかなかった場合でも責任は取れないことを先に宣言しておく。

会社設立や在留申請の仕事をやっていると、外国人から「そろそろリタイヤ後のことを考えて会社を設立したい」「リタイヤして日本で生活を維持するにはどうすればいいか」というような相談を受ける。相談してくる人たちは大体40-50代の人たちである。日本人の大半が60歳で退職、退職後は契約社員として65歳までは同じ会社にいられるので、日本人だとリタイヤ後を考えるのは60歳近くなってから。それと比べたら、10歳以上も早い段階で彼らはリタイヤ後を考えている。また、韓国の人に聞いたところ、韓国の大手の会社は50歳前後になると定年になるずっと前なのに退職金をはずむから早く辞めてほしいというような退職勧奨をするらしい。そうすることによって若い人の採用に繋げようとしているようだ。その大手の会社の退職金がいかほどなのかは知らないし、私に相談してくるような人たちの年収が母国でどのくらいのところに位置しているのか把握しているわけでもないのだが、一般論で考えても、日本や日本人は海外に比べても貧乏になったなあと実感させられることが多い。なぜかというと、同年代の日本人の大半が住宅ローンや子供教育費で余裕がない時なのに、外国人はその時点で日本で家を買うとか、会社を設立する資金(経営・管理の資格を得るためには一人最低500万円は必要)をいとも簡単に出せる、または資金源を確保できていることが多いからである。

外国人が日本で暮らしたいと思う理由は、銃社会でないから安全であること、外国人に比較的寛容な社会であることがあげられると思うのだが、国民皆保険であることも一つの理由だろう。6ヶ月以上の在留が認められれば健康保険に加入できるし、国民年金も10年払っていて65歳になれば受給資格がある。ただ、ここで外国人の人に注意してもらいたいのは、母国にいる親に日本の医療を受けさせようとしても、3ヶ月の短期滞在、および医療目的の特定活動の在留資格だと、国民健康保険には入れないことだ。また、日本の在留資格には親の呼び寄せができるタイプがほぼないので(母国に70歳以上の親がひとりぼっちである場合に特定活動の資格取得ができる場合はあるが、かなりまれ)、親の介護が必要になった時には自分が母国に帰国しなければならないことだ。

また、外国人による空家や古民家の紹介サイトなどを見た外国人から、日本で安い戸建てを買ってリタイヤ後のんびり暮らしたいんだけど、どうしたらいいか?、というような問い合わせをちらほら受けるのだが、家を購入するだけでは在留資格は降りない。1. 日本の企業に就職して「技術・人文・国際」の就労資格を得る、2. 日本人と結婚して「日本人の配偶者」の資格を得る、3. 日本で起業して「経営・管理」の資格を得る、4. 半年ごとにデジタルノマドビザ(年収1,000万円以上、半年の健康保険契約必要、在留6ヶ月、再申請は可能)をとって、母国と日本を行ったりする、などの手段を考えなければならない。また、不動産のエージェンシーを通して家を購入する場合、現金持参して支払う場合は良いが、基本的に日本に銀行口座がないと家を買うことも借りることもできない。副次的な問題で日本に住むことはハードルが高いのである。

前述したが、日本人の場合には会社は定年を65歳以上に定めなければならないので、大体の会社では60歳で一旦退職扱いとし、その後は1年単位の契約で65歳まで勤めることが可能。銀行業界ではもっと早くに別会社に行かされるらしいし、逆に定年がないなんて会社もあるけれど、平均的なサラリーマンの場合、退職後のセカンドキャリアを考えるのが60歳くらいからだ。もちろん契約社員になれば給料は低くなり役職も奪われるらしいけど、65歳で引退してもその後の生活に困らないくらいの資産があるならば、あと5年と割り切れば楽ではある。私の周りの人たちは一部上場企業勤めも多く、役員待遇の人間もいるため、彼らは会社辞めても悠々自適である。ただ、彼らは世の中の平均とは言い難く、子供が小さい、親の介護にお金がかかる、など様々な理由で70-80歳までは働かなければならない人たちの方が一般的だろう。そういう人たちにアドバイスするとしたら、「第二の人生の準備をするのは早ければ早い方がいい」「リスクヘッジのためにも、収入源は二つ以上あった方がいい」ということだ。

日本という国はほんとうに残酷だと思うのだが、年金と保険は誰でももらえる権利があるからということで人参ぶら下げられてずっと働いてきた熟年層に対し、受給を60歳から65歳に先送りし、さらに「65歳で受給するより、70歳、75歳でもらう方がずっとお得ですよ」と、65歳でもらえる金額ではとてもその後の生活がおぼつかない金額を提示して、息切れしている人間を死ぬギリギリまで働かせようとする。今の若い世代が年金をもらえるとしたら(もらえない可能性だってゼロではない)75歳からしかもらえないんじゃないかとも思える。一方、医療技術の発達のおかげで100歳まで生きることも可能であるものの、年をとればどんどん体力や気力が衰える。できれば40-50歳位からセカンドキャリアを考えた方が(すぐに実行しなくても)その後の人生も結構長いわけで、やりたい仕事を早めに手に入れたほうが、人生楽しくやれるのではないだろうか?

サラリーマンをやりながらの副業、キャリアチェンジのために会社設立して社長、または個人事業主になるにしろ、常に収入源は二つ持つ、または二つ持てるようにスキルアップしておいた方が良い。キャリアチェンジをした時にそのメインの仕事が成功するとは限らないので、その時に別の選択肢を持っておいた方が結局はメインで頑張れる場合もある。ちょっと前に、「副業しても良い社会を作る」といった自民党幹事長に「メインの仕事だけで食べていける社会を作れよ」と世間のツッコミが入った。それはそれで正論だと思うけど、メインででどれだけ稼げるかは別として、副業はしておいた方が良い。以前別のブログでも書いたが、私自身が期せずしてメインの士業と人材紹介の会社の代表という仕事をもつことになったので、コロナで士業の仕事が落ち込んだ時にもなんとか士業の事務所を維持することができた。また、それ以前にはサラリーマンをやりながら士業をやっていたので、職場で相当嫌な目にもあったけど、副業が息抜きの役割を果たしていたので、気持ちの整理がそこでできた。後輩にも、「士業で行き詰まったら別の仕事を同時進行ですればいい」といっている。私の友人の一人が、サラリーマンを辞めて二つの仕事を持ちながら独立しようとしている。どっちもやりかった仕事のようでそれを実現できるとしたら本人にとっても幸せだと思う。今後が楽しみ。

現在サラリーマン稼業の人から、独立した方が税金を払わなくてすむのか、独立するなら個人事業主と会社設立して代表になるのとどちらが良いか?という相談を受けることがある。その場合には、「あなたは違うかもしれないけど、サラリーマンは座っていて何もしなくてもお金がもらえるが、個人事業主や社長は、自ら稼がねば一銭も懐に入ってこない、来月収入があるかどうかもわからない不安定な状態ですがそれでもいいのですか?」とまず聞いてみることにしている。大手の企業に定年近くまでいた人は、個人ではなく会社の威光で仕事ができていたかもしれないことに気が付かず、独立しても自分で営業しないで待ってる場合が多く、よってキャリアチェンジが成功しない、という例をいくつか見てきているので、そういうタイプには、あんまり独立をお勧めしないことにしている。

又私のような個人事業主は、使ったお金を経費で落とすことはできるが、稼いだお金を貯蓄に回そうとすると翌年税金でがっぽり取られてしまうため、税金取られるよりは使ったほうがまし、ということで使う方を選んでしまう。よってリタイヤに備えて売り上げを貯金に回すことができないので、しばらくは働き続けることになりそうなのである。もちろん会社を作った場合の売り上げは、ある程度内部留保は可能かもしれないが。一方、サラリーマンは、所得税や住民税などは容赦無くあらかじめ引かれてしまうため、手取りの余った分を貯蓄に回すことができる。よって、ある程度の所得がある人で子供の教育費などを貯めておきたい場合には、サラリーマンを続けた方がいい場合もある。もちろん、自分の実力に自信があるなら、独立して稼げばその分は自分の収入になる。知り合いで会社設立し、他社の営業を業務委託で引き受けている人は、実にマイペースで仕事をしていて、週末はしっかり休みを取りお子さんたちと遊んでいる。

税金以外の部分で個人事業主と会社を設立して社長になるのとどちらがいいかだが、コンサルティングとか士業の場合は個人事業主、製造業や貿易関係は会社設立の方が良いと思う。コンサルティングや士業の場合、名前や個人の信頼で仕事をするため、会社の名前で信頼を得る必要がない。士業の場合で法人を作ると、会費(単体でも安くない)を個人と法人で両方取られるので、現状メリットよりデメリットが大きい。一方、不動産業、製造業、貿易関係をやる場合には、運転資金や、起業前の設備投資のために銀行からの融資が必要になることもあるし、取引金額が大きい場合には、資本金額を大きくして、会社としての信頼を得た方がビジネスがスムーズになるので、会社組織にしておいた方がいいと思う。業態にもよると思う。

「リタイヤしたら新しいライセンスを得て、自分のペースで仕事をしていきたい」という人がいたのだけれど、こと士業に関していうと、来た仕事を断れば2度とこないことが予想されるため、どんなに忙しい時期でも来た仕事は基本的に断らないで完遂する必要がある。また、どれだけ暇な時でも、チラシを配って勧誘する手段とか「3ヶ月間はディスカウントですよ」と宣伝するようなこともできない。だからどんなに忙くても、来たら依頼は全部やることで収入を得ておいて、暇な時期の分を補完できるようにするしかない。要は依頼された仕事を100%受けなければ、来る仕事がある日0%になる可能性もあるわけで、常に100%仕事ができるようにしておくしかなく、マイペースとは程遠い毎日を過ごすことになる。サラリーマンから飲み会設定で「調整さんに空いている日を入れてください」と言われることがあるが、いつ忙しいかいつ暇かは、その日にならないとわからないので、いつも「予定はわからないので空いてたら行きます」と答えるのだが、サラリーマンからすればカッコつけてるとしか思われないんだろうなあ・・

起業、リタイヤ、会社設立など他人の相談にはいくらでも乗れるしアドバイスもできるのだが、自分がいつリタイヤできるのか、すべきなのかの判断はしばらくできそうにない。

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