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アメリカでの会社設立

先日ブログで書いたが、昨年LAでIshibashi, Larkin and Shibata Law LLP (ILS)を登記して、ビジネスができる状態にするために準備中である。アメリカの会社設立と大風呂敷を広げたが、設立の細かいプロセスは州によって違う可能性もあるが、多分大枠は同じだと思う。私はLLPというLimited Liability Partnership=限定責任のパートナーシップ、を選んだので、純粋な株式会社とは違うのだけれど、設立に関してやらなければならないタスクは大体似たようなものなので、違いがあることは勘案しつつ、設立に関しての参考になるであろうことを挙げてみる。

まずどの州で、誰と、どの組織にして、何をやるか?を決める。何をやるかによって、登記予定の州でビジネスライセンスが必要になるので、それも確認。カリフォルニア州では、公認会計士や弁護士しかまた、どの州で設立するかを決めた時に、今後設立のプロセスやDesignated Agent(州のホームページに行くと、リストがあり、リンクが貼ってあって飛べる)と言われる法的な書面を受け取ってくれるエージェントの選定もしておく方が良い。そのDesignated Agentのサービスだけでなく、設立のプロセスや、その後のドメインの登録、ホームページのホスティングサービス、設立後の契約書の雛形などを安価でやってくれるZen Business, Legal Zoom, Incfile, NorthwestなどというSmall Businessの支援会社があるので、これを使うのも良いと思う。日本語対応の会社がこれ以外であるみたいだけど、多分その分高くつくので、英語対応で良いなら、このどれかにした方が良いと思う。LLPの設立は特殊なので、どこも引き受けてくれないのだけど、Designated Agentとそれ以外のサービスで、私はNorthwestにお願いしている。

日本と違って定款という名前ではなく、会社の場合にはArticles of Organization、LLCの場合には、Operation Agreement(社員全員が経営に参加するMember Managed又は執行社員だけが経営に参加するManager Managed),LLPの場合には、参加するパートナーの役割が書かれたPartner Agreementなどが登記以降の色々な場面で必要になる。これらの雛形も、上記のようなSmall Businessの支援会社のホームページに行くと、州別で準備されている。

本店の住所は、今後ビジネスをするにあたり、顧客ターゲットを決める時に重要。もちろん、オンラインのビジネスで、本社がどこでもいい場合はあるのだけど、そうは言っても、本店所在地のある郡や州で地方税を払うことになるのだから、オンラインでも重要であることには変わりはない。ILSは、顧客のメインをエンタメ・ITと定めたため、Californiaで両方満たすのは、Los Angelesしかなかった。準備段階では、リアルオフィスは必要なかったので、バーチャルかつ郵便物を受け取ってもらえるところ、で、当初パートナーの一人から、LAにオフィスを置くなら、ほとんどの裁判所が集まっているDowntownにしたいとの希望があり、場所と金額でCentrlのダウンタウンオフィスに決めた。Northwestのバーチャルの住所はサクラメントしかなく、郵便物を取りに行くにしても不便なのでこちらにはDesignated Agentだけの機能をお願いした。

別ブログとダブるけれど、バーチャルで借りる場合には、バーチャルオフィスに代わりに郵便物を受け取ってもらうということを証明するUSPS Form 1583をUS Postal Services提出しなければならず、このフォームは、アメリカのID二つ(パスポート以外に、運転免許や住居の光熱費のBillingのようなもの)を添付しないといけないので、日本人でアメリカの住所がない人はこれを提出することができず、よって、バーチャルオフィスを借りることはできない。取締役やパートナーの中に、アメリカ人がいない場合には、高くつくけれど、最初からリアルオフィスを借りるしかない。

州で登記の受付は、大体は該当州のSecretary of Stateを調べれば出てくるはず。そして、大体の州ではオンラインで登記が可能。日本と違って、資本金は登記時に決めておく必要はなく、資本金額を銀行に入れておき、これを証明する必要もない。他の州はわからないけれど、CA州の場合、ビジネス目的については「違法じゃなくてできること全部」みたいな選択肢があって、あまりに緩すぎてびっくりしたのだが、会社目的は定款その他のAgreementで定めておけば良いみたいである。登記することの目的は、ビジネスをやっていることの証明と、設立後に訴訟するときの管轄を決めるため、くらいではないかと思われる。(そんなことはない、という場合には、是非コメントお願いします。)

こちらも別ブログと重なるが、私がLLPを設立するときにカリフォルニア州のビジネスオンラインが日本では使えず、オンラインだとクレジットカード払いができるのだが、郵送にするとMoney Orderが必要。日本じゃMoney Orderが作れないので、結局、日本からは何もできずに最初は途方に暮れた。その後ハワイ州のパートナーにやってもらったのだが、申請書も書き直さねばならず、かなり面倒であった。海外からはアクセスできない、と書いてくれれば、VODを契約して、アメリカのIP Addressを獲得することも、後から考えれば可能だったのだが、それをヘルプデスクが把握してないため、こちらとしてもどうしようもなく・・いつも思うけど、日本の官公庁や法務局の職員の方は、本当に間違いもなく、しっかりサービスしてくれるのだが、アメリカの州レベルの職員ってやる気ゼロだし、4:55に電話をすれば、「サービスは終了しました、9-5時の間に電話してください(してるけど)」とアナウンスが聞こえるのみ。ハワイのパートナーもわけわからんこと言われ、何度か電話してやっと登記ができたくらいで、住所変更届をこれから出すのも憂鬱である。先に日本から郵送して、着いた頃にロスから電話しよう。

登記ができたら次にやるべきなのはEIN番号の獲得。EIN番号とは、Employment Identification Numberの略で、雇用する予定がある場合に獲得する、とあるが、法人口座を作りたい時には必須なので、会社設立したらどっちみち取らねばならない。IRSという税金支払わないと世界中どこまでも追っかけてくることで有名な国税局よりも怖い組織のホームページで申請できる。リンクはこちら。オンラインで必要事項を記入して申請すると、その場で番号がもらえる。一旦申請すると、年末に「収入があったら申告しろ」と二度ほどせっつきの郵便物が来ていたみたいだが、オンラインで申請したのに、なぜか郵送でくる。なんせNew YorkのTax Departmentから通知も受け取ってないのに、20年近く前のTax Return時の未払い分の追徴課税でNYの銀行口座から$5,000も引かれたこともある身なので、IRSの封筒をみるだけで恐怖を感じるけど、幸か不幸か、年末の段階では一円たりとも稼いでないので、放置した。確か6月に決算と書いてしまったので、そろそろAccountantに相談をせねば・・

州によって異なるが、会社のビジネス内容によっては、ビジネスライセンスの取得や、ビジネスの登録が必要になる場合がある。レストランは、お店の許認可も必要になるし、人材紹介会社だと、CA州の場合、ライセンスはいらないが、保証金を入れる必要がある。また、CA州だけではないと思うが、もっと細かい区分けで、CityとかCountyでライセンスが必要になることもあるので、確認が必要。

ILSの場合、3人ともCaliforniaの弁護士なので、The State Bar of CaliforniaにLLPを作ったことを認めてもらう必要があった。そこで、登記の時と同じように申請書と登録料を送らねばならない。で、登録料がCAのSecretary of Stateと同じで、クレジットカード番号入力が認められず、これまたMoney Orderという日本のどこでも作れないものを要求してくる。この段階では多少知恵がついたので、ドルを現金で準備し「日本ではMoney Orderが作れないし、クレジットカードも使えないから、仕方なく現金を送るのだが、アメリカ以外の国の事情も考えて欲しい」という文言を書いた手紙を添えた。パートナーが3人だからあと50ドル送れと言われ、それもまた現金で郵送(EMSで送ったとしても、今3,000円に値上がりしているのでバカにならない)。修正も含めて、2ヶ月近くかかり、ようやく4月に連絡がありLLPが認められた。バーチャルオフィス契約から約8ヶ月・・

日本で会社設立した多くの外国人でもここが一番難関の法人口座開設。日本の銀行はうるさいので、在留カードを作っていても、マイナンバーカードの取得まで要求するところが多く、マイナカードを取得する頃に在留期限が3ヶ月切っていると、更新してからと言われる。おかげで、自分の事務所の口座に顧客の資本金を預かると、1年以上口座に入っていることがあり、預かりに費用をもらうわけにはいかないが、責任も重くて、やってられん、と思うことしばしば。アメリカでの法人口座開設について、日本で色々と調べてみてもビザ取得後でないとだめ、というような記事をよく見るのだが、ILSの場合には、アメリカ人が一人いるので、私がビザを取得してなくてもなんとかなるのでは、と考えた。愛用しているAIのGrokに日本とアメリカの取引が発生する際に口座はどこがいいかと聞いてみると、「Chase」や「Bank of America」というメジャー銀行以外に、「Mercury」と「Wise」という名前が上がった。Wiseは少額の送金では早くて便利なので、個人口座は持っていて、クライアントにもお薦めしているのだが、ビジネスアカウントで名前が上がるとは思わなかった。Mercuryは、Wise同様、銀行ではないが、取引には便利らしい。そもそもMercuryは、銀行取引の煩雑さを解消する目的で作られたシステムらしい。この二つのサービスは、オンラインでの申請が可能。WiseはPartner Agreementの公証が必要と言われ、意味がわからんので保留にしてあるが、Mercuryの方は、本人確認はパスポートとオンライン時にカメラでの撮影で良かったので、今審査中。Chaseは、アポを取るにもアメリカの番号が必要だったので、いきなり行って、必要事項を聞いたのだが、「すべてのパートナーが申請時に同席必要」Bank of Americaはアポは取れたが、「Management Partnerの二人が同席必要」と言われている。パートナーの都合が合えば、こちらは口座開設できそうだ。この件については、分かり次第アップデイトしていく。

アメリカでは国際電話を受けられない役所や携帯保持者も多いし、CA Barではプロフィールのところの連絡先は、アメリカの電話番号以外は不可。今後仕事をしていくにあたって、アメリカの電話を購入したいと思っていたのだが、住居がないと無理だろうと半ば諦めていた。が、偶然Hana Cellというサービスが会社の住所で購入できることが分かり、ヘルプデスクに確認をしたところ、CA州の住所であればそのローカル番号をもらえることがわかったので、早速購入。ギャラクシーの廉価版が本体なので、iPhoneに慣れすぎてるから大丈夫かなとちょっと思ったが、いやこれが隣にiPhone置くだけで、連絡先のデータが送れたし(逆にデータを吸収するのなんて簡単なんだなとわかって怖いけど)、それ以外もかなり便利だし、大昔使っていたギャラクシーに比べて格段に進歩していることが分かり毎日色々試して楽しんでいる。

日本の行政書士事務所のホームページをホスティングしているサーバーは日本のサービスだが、日本の技術がダメだからなのか安いからなのか知らないが、メールが届かない、送れない、海外から送られてきたメールが迷惑メールに入る、と米日でビジネスするにはこのサービスの追加購入では無理と判断。AI エンジニアにgmailを薦められたこともあり、後の二人のパートナーとの作業や会話もドライブやチャットでしやすく、二人の希望もあったのでILSの方は、gmail workspaceを購入。ドメインがNorthwestにあり、こことの連携は後輩のウェブデザイナーに手伝ってもらったのだが、使い始めたら便利でかなり気に入った。個人アドレスのgmailと、行政書士事務所のメールもgoogleに変えて、PCでは3つの画面を全部一つのGoogleで開きっぱなしで仕事をしている。Windowsだと、一つ一つのウィンドウが開いてしまったが、Macだとそれがないので、作業効率がかなり良い。1アカウントいくらなので、その分負担は重いけど、セキュリティもしっかりしているので、まあ、ビジネスするならこの費用はしょうがないだろう。

ホームページのホスティングは当初はGoogle Cloudにしようと思ったのだが、ドメイン登録があり、SSLも無料のNorthwestでデザイナーにはお願いしている。

会社設立なんて簡単、と人には言うのだけど、それは私がクライアントの幾つもの会社設立を手伝ったからでしょう、と指摘されて確かに・・と思う。日米の会社設立は大変な箇所が違うように思うけど、両方のお手伝いは可能です。私が選択した写真は、自分一人でほぼすべてのプロセスをやってることの孤独感が現れていると言う理由で選択。

一人で悩まないで、ぜひご相談を。お問い合わせはフォームに記入して送信してください。

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