先月あたりからコロナウィルスの波がやってきて、クライアントが関係するイベントが中止=イベントにいく予定、イベントに絡む業務がキャンセル、ほぼ毎日メールや電話できていた新規のお問い合わせも少し減ったので時間に余裕が出てきた。ほっとしたのも束の間、時間に余裕ができたんだから、ホームページの整頓整理でもしよう、とは思うのだが、今後日本が、東京が、仕事がどうなる?という不安があると集中力が失われて、すっかりやる気が出ない。リモートワーク(どうもテレワークという、言葉から内容が想像しにくいこの用語に馴染めない)をやってるサラリーマンと違って、忙しくて目が回る毎日だったのに、それが突然消えてなくなった私のような個人事業主は、時間ができる=収入なくなることへの恐怖、があるので、時間があってもその間仕事に集中しようという気になれないんですよね(かなり言い訳)。テレビ朝日の「モーニングショー」TBSの「サンデーモーニング」を除く日本のマスメディアのほとんど全部が政権忖度で正しい情報を提供してくれないため、頼れるのはCNN, BBC、それにTwitterでフォローした信頼性高い人たちから回ってくるものだけ。一人でそれを見てチェックして、今の世界と日本の状況を比較憶測してみる。東日本大震災の時は、ずーっとNHKを見て聞いていればほぼ状況理解できたのだが、9年経っただけで、公共放送だったはずのNHKもマスメディアも見事に悪い方向に一変したものである。
で、Twitterでコロナ情報を仕入れていた中に、え?と思ったのが、フォローする弁護士さんのリツイートで知った、2020年4月2日付の広島弁護士会による「広島県行政書士会の会長声明に対する抗議文」。なんでも、広島県行政書士会会長が出した声明文で「行政書士が法律的判断を行い得る」「契約代理を行い得る」「自動車保険請求手続きにつき、保険金の請求は、相手方が反駁するか否か未定だから申し入れ行為は行政書士ができる」といった声明を出したらしい(どこで出した声明なのかわからないので引用できない)。で、それに対して弁護士会が違うだろう、ということを抗議している文面。こんなコロナでみんなが感染の恐怖に怯えている最中に、士業同士で見解について争わなくてもいいじゃん、というのが最初見た感想。でも、よく見てみると、どうもこの声明の前から交通事故の保険金交渉について広島で一部の弁護士・行政書士同士の争いがあったみたいで、交通事故業務をやっている行政書士がいる中、その会長が交通関連の団体の会長をやっているとかなんとか、で、その弁護士がそのことについて告発したというような話のようで、根が深そうではあるが、これ以上掘ってもあまり面白い内容でもなさそう なので割愛。
何が言いたいかというと、1. 士業の業際問題は、依頼人には関係ないので内輪で解決、2. 書士の懲戒については、法改正で今後もっと厳しい対応が可能、3. 会として、法曹資格保持者としてもっとやるべきことがあるのでは、ということである。
別のブログでも、司法書士会が行政書士ターゲットに登記の代理人やってないか法務局に張り付いてチェックしているという話を書いたが、そもそも官公庁に書類を提出する代理という半分官公庁職員?から始まったらしき行政書士の仕事って、曖昧かつ幅広いので、業際問題で顰蹙買うことが割と多いかもしれない。(その幅広いところで、新たな分野を開拓するたくましい人たちもいっぱいいて、それが業務を面白くしているのだが。)会社設立について司法書士と、会社の就業規則について社会保険労務士との業務の取り合い、で、弁護士様は争い事の解決は弁護士にしかできないと弁護士法72条- 非弁活動- 、この条文一つを天下の宝刀状態で使って、行政書士に限らず斬りつけてくることが多い。もちろん、際を超えてると思いながら業務続けている書士も悪いし、広島会のようにちょっと論理的に辛い声明文出すのもどうかと思う。が、こういう業際の問題って、一般の方にはまーったく関係ない話であって、お互いにホームページで宣言=一般の人の目に触れる場所、しても公共のメリットにはなるわけもなく、士業全体への信頼度を下げる結果になりかねない。士業同士がお互いに会って話し合って解決した方がいいのではないだろうか。
行政書士法改正が2019年12月4日に公布され、1年半後の2020年6月に施行される予定である。その改正の一つとして、各都道府県の行政書士会の違反者に対する指導権限について具体的な法的根拠が与えられることになった。単位会が厳しい措置を違反した行政書士に与えることができるようになったので、違反を未然に防ぐことが可能になる。上記はその単位会の会長声明で書士への攻撃をかわそうとしているのでなんともであるが。
a) 広島の多分当事者であろう弁護士と、弁護士会の抗議文を読む限り(広島県行政書士会の宣言文が探せないので憶測)、広島行政書士会の宣言は正しいとは思えない部分もある。契約代理と契約書代理は違うって言葉に拘った議論をしている抗議文についても、言いたいことはたくさんある。でも、そもそも、なぜ契約のこと、交通事故についての業務を、依頼人は行政書士に依頼したのだろう- 弁護士の設定する金額が、弁護士というだけで高い金額をとることが多いからではないだろうか。新人、熟練者にかかわらず、弁護士の費用は一般的に一律高い。業務に慣れたベテランの行政書士に頼む方がどう考えたって効率的である。また、ベテランの行政書士なら、全く争うことなく示談ですますことができるものを、弁護士に依頼して、争い事になり、ますます高い費用を取られることだってあり得る。
また、この声明文には行政書士だから法律的判断ができないという趣旨の内容が書かれているが、民法商法的に有効ではない契約書を作る弁護士、税法のことがわからないまま間違った相続の業務を行った挙句に、間違ったと言いながら、争いもない相続業務で何百万円も依頼人からもらう弁護士など、実際に見聞きした弁護士大丈夫?という例はいくらでもある。契約書作成に関しては、正に昨日もこれ本当に法律を知っているであろう弁護士が作ったのかと唖然とする契約書を依頼人が見せてくれた。ドラフト、レビューした数が合計30,000を超える身から言えば、弁護士だけが法律的判断ができるって何言っちゃってんの?である。こちらを責めるだけでなく、会員のレベルアップにぜひ努めて、依頼人のニーズにあるお仕事をしていただきたい。付け加えていうが、私は知り合いの弁護士さんから仕事の依頼を受けたり、お願いしたり、他の士業とも同様の関係なので、業際の仕事はやらないし、他士業とはこれからもウィンウィンの関係で行きたいと思っている。
b) 小さい頃から大学に入るまで、私はずっと弁護士になりたいと思っていた。弁護士になって、困っている人を助けたい、正義のために闘いたいと思っていた。今は行政書士ではあるが、法律の専門家として、また人間として困っている人を助けたい、正義のために闘いたいという気持ちは変わらない。弁護士という法曹資格をお持ちの方には、もっと違うところに怒りの矛先をむけて欲しい。コロナウィルス感染で国中が大騒ぎの4月2日付けでこう言った声明文を出す時間があるのなら、雇用のこと、役所の対応、現政権の改正法の整合性の検討など、今本当に困っている人を助け、世の中で間違ったことを正して欲しい。弁護士管轄の法務省のトップが検察庁法に違反するような言動をし、検察という組織のあり方が問われている時に、その行為に対して声明文をホームページに出すことだけで終わらせないで欲しい。同じ法曹資格者に対して、法的な論議を持って、具体的な行動を起こして欲しい。この件については、きっと今は「法律的判断ができるわけがない」行政書士なので仲間に入れてもらえないだろうから、今は私は私なりのやり方をとるけど、司法書士、弁護士の試験に合格して別の資格保持者になった暁には、その資格に見合った行動をとりたいと思っている。
なんだか話が大きくなってしまったが、コロナ旋風が終わったら、働き方とか人との付き合い方とか色々と変わるんだろうなと思う。だからこそ、人様のお役に立てるために、士業としての立ち位置だったり、他の士業との協業、社会との関わりを士業同士手を組んで、もっと強固にする努力した方がいいんじゃないかなと考えた次第。写真は未来への希望を込めて「花と光」。